蒸し暑いから
マジックじゃない話し
僕は小学生の頃、学童保育に通っていました。
小学校が終わったら学童保育へ行って、18時半くらいに家に帰るのです。
学童保育ではよくマジックを見せましたね。記憶に残っている中で物凄くウケたのはテンヨーの「ダイナミックコイン」、「チャイナリング」、あとサムチを使って借りたハンカチからシルクを取り出すトリックなどでしたね。
学童では夏休みに皆でキャンプに行きます。
川に入って鱒のつかみ取りをしたり、カレーを作って皆で食べたり、夜は肝試しをしたりしました。まぁ、自然の中で遊ぶので怪我もしますが、とても楽しかったですね。
先生や保護者は事前にキャンプ場の下見に行くのですが、4年生か5年生くらいになると(学童の中では年長です)、キャンプ場の下見に付いていくことができました。
泊まりはしませんが、ちょっとだけなら遊んで帰れるのです。
僕とあと2人ほどの子供が下見に付いていったときの話しです。
周りが森に囲まれている道を進み、途中で石橋を渡る場所がありました。
石橋の手前には数匹の野良猫が居て、通るときに「エサくれー」とばかりに鳴いてきました。
先生や保護者、僕らも「あ、猫がいるねー」みたいに話しながら歩いて通りました。
帰りの道ではその猫たちは居ませんでした。
で、キャンプ当日。
同じ道を通ったのですが、やっぱり猫たちが居ました。引搔かれたりしないように、先生らは触らせてくれませんでしたが、同じように鳴いていました。
キャンプ場に着き、川に入って沢山遊んだり、薪を割って火を付けて、その火で鱒の塩焼きを作ったり、肝試しをしてから、僕ら子どもたちは寝ます。
大人たちは外のテーブルで軽く食事をしながらワイワイと談笑しています。
僕は昔から鼻炎持ちだったので、埃っぽい場所に行くと鼻水が止まらなくなります。そのキャンプ場の寝床もあまり奇麗とは言い難く、案の定、夜中に何度も鼻をかむことになりました。
寝苦しい時間がしばらく続いていましたが、大人たちの談笑も聞こえなくなった頃、赤ちゃんの泣き声のようなものがかすかに聞こえるのに気がつきました。
よーく耳を澄ませると「ギャー、ギャー」と泣きわめいているような音が聞こえるのです。
僕はそれが子猫の鳴き声だと思いました。
何故かというと、その当時(まぁ、今もなのですが)、子猫を拾ってきて獣医さんに診せることがあったので、子猫の必死な鳴き声というのがすぐに分ったからです。
本当に必死な時の子猫の鳴き声は結構凄いのです。
トイレに立った時、先生に聞きました。
「猫が鳴いてない?」
先生や大人は聞こえないと言いました。寝床に戻った時はその鳴き声も聞こえなくなっていましたが、僕は「もしかしたらあの猫かも」と思いました。
「あの猫」は下見の時も、当日に皆で歩いた時も、石橋の手前に居ました。
他の猫たちと数歩離れた場所に座っていたのです。
非常に特徴的な猫でした。
ぱっと見た感じでは上半身が赤茶色で何かドロドロして酷く汚れているような黒さだったのです。
じっと座って静かにこちらを見ていたので覚えていました。
僕はあの猫が怪我をしていて、それで鳴いているんだと思ったのです。
キャンプ場から帰るとき、「あの猫」がいないか、石橋のあたりをよーく見てみたのですが、黒い猫も他の猫たちも居ませんでした。
「あの猫大丈夫かな、あれ、怪我してたんだよね?」
と先生に聞くと意外なことを言われました。
先生はその猫を見ていませんでした。
あんなに赤茶色に汚れていたのですから見逃すはずがないのですが、他の学童生や大人たちに聞いても、誰も見ていませんでした。
一人だけ、保護者のおばさんだけは僕が見た猫を見ていました。ところが、その話しをすると「そういうこともあるから。あまり気にするのはやめときなさい」と言われてしまいました。
思い返せば、行くときだけ居る猫達というのも不思議だったのですが、あの黒い猫さんの存在はちょっと異様だったので、何か未練があってあそこに座っていたのかもしれませんね。
幽霊の存在は、居ようが居まいがどうでもいいと思っているのですが、もし幽霊の存在が確実なものと解明されたとしたら、あの猫さんは幽霊だったのだと思います。
小学校が終わったら学童保育へ行って、18時半くらいに家に帰るのです。
学童保育ではよくマジックを見せましたね。記憶に残っている中で物凄くウケたのはテンヨーの「ダイナミックコイン」、「チャイナリング」、あとサムチを使って借りたハンカチからシルクを取り出すトリックなどでしたね。
学童では夏休みに皆でキャンプに行きます。
川に入って鱒のつかみ取りをしたり、カレーを作って皆で食べたり、夜は肝試しをしたりしました。まぁ、自然の中で遊ぶので怪我もしますが、とても楽しかったですね。
先生や保護者は事前にキャンプ場の下見に行くのですが、4年生か5年生くらいになると(学童の中では年長です)、キャンプ場の下見に付いていくことができました。
泊まりはしませんが、ちょっとだけなら遊んで帰れるのです。
僕とあと2人ほどの子供が下見に付いていったときの話しです。
周りが森に囲まれている道を進み、途中で石橋を渡る場所がありました。
石橋の手前には数匹の野良猫が居て、通るときに「エサくれー」とばかりに鳴いてきました。
先生や保護者、僕らも「あ、猫がいるねー」みたいに話しながら歩いて通りました。
帰りの道ではその猫たちは居ませんでした。
で、キャンプ当日。
同じ道を通ったのですが、やっぱり猫たちが居ました。引搔かれたりしないように、先生らは触らせてくれませんでしたが、同じように鳴いていました。
キャンプ場に着き、川に入って沢山遊んだり、薪を割って火を付けて、その火で鱒の塩焼きを作ったり、肝試しをしてから、僕ら子どもたちは寝ます。
大人たちは外のテーブルで軽く食事をしながらワイワイと談笑しています。
僕は昔から鼻炎持ちだったので、埃っぽい場所に行くと鼻水が止まらなくなります。そのキャンプ場の寝床もあまり奇麗とは言い難く、案の定、夜中に何度も鼻をかむことになりました。
寝苦しい時間がしばらく続いていましたが、大人たちの談笑も聞こえなくなった頃、赤ちゃんの泣き声のようなものがかすかに聞こえるのに気がつきました。
よーく耳を澄ませると「ギャー、ギャー」と泣きわめいているような音が聞こえるのです。
僕はそれが子猫の鳴き声だと思いました。
何故かというと、その当時(まぁ、今もなのですが)、子猫を拾ってきて獣医さんに診せることがあったので、子猫の必死な鳴き声というのがすぐに分ったからです。
本当に必死な時の子猫の鳴き声は結構凄いのです。
トイレに立った時、先生に聞きました。
「猫が鳴いてない?」
先生や大人は聞こえないと言いました。寝床に戻った時はその鳴き声も聞こえなくなっていましたが、僕は「もしかしたらあの猫かも」と思いました。
「あの猫」は下見の時も、当日に皆で歩いた時も、石橋の手前に居ました。
他の猫たちと数歩離れた場所に座っていたのです。
非常に特徴的な猫でした。
ぱっと見た感じでは上半身が赤茶色で何かドロドロして酷く汚れているような黒さだったのです。
じっと座って静かにこちらを見ていたので覚えていました。
僕はあの猫が怪我をしていて、それで鳴いているんだと思ったのです。
キャンプ場から帰るとき、「あの猫」がいないか、石橋のあたりをよーく見てみたのですが、黒い猫も他の猫たちも居ませんでした。
「あの猫大丈夫かな、あれ、怪我してたんだよね?」
と先生に聞くと意外なことを言われました。
先生はその猫を見ていませんでした。
あんなに赤茶色に汚れていたのですから見逃すはずがないのですが、他の学童生や大人たちに聞いても、誰も見ていませんでした。
一人だけ、保護者のおばさんだけは僕が見た猫を見ていました。ところが、その話しをすると「そういうこともあるから。あまり気にするのはやめときなさい」と言われてしまいました。
思い返せば、行くときだけ居る猫達というのも不思議だったのですが、あの黒い猫さんの存在はちょっと異様だったので、何か未練があってあそこに座っていたのかもしれませんね。

コメント
No title
あと広告でかいですねw
2010-07-02 16:34 ameyobi URL 編集
No title
いつも拝見させていただいています。
中学3年生なのですがマジックが大好きなのでコメントさせていただきました。
話は変わりますが、このお話は怖いですね。
私も猫を3匹飼っていますが、ギャーとは今までに泣きませんでした。
おかげ様で涼しくなりました。ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
2010-07-02 19:01 小林 URL 編集
No title
ameyobiさん
僕の思い出を抽象画風に描いてみました。
広告目立ちますよね。
小林さん
はじめまして。怖いというより、不思議な思い出として記憶しています。何だったのでしょうね。
またコメントいただけると嬉しいです。
2010-07-03 23:31 k_motonari URL 編集