THE SIGNED CARD
マジックの話し
マジックの演出において「観客への挑戦」はかなり危険です。
気分を害してしまう人も居るかもしれませんし、マジックを観る目が「絶対に見破ってやろう」という正しくない観方になってしまいます。
マジックの最初に最後に使うカードを置いて見せておく、という演出もなかなか挑戦的なものだと思いますが、「THE SIGNED CARD」という類のマジックでは不思議さが際立つ、というプラスの効果をもたらしています。
「THE SIGNED CARD」
トリックを始める前にデックからカードを一枚取り出し、裏向きのままテーブルに伏せます。
「このカードは皆さんの見える場所においておきます。誰も見てはいけません。触ってもいけません。私もこのカードには二度と触れません」
意味深な事を言ってこのカードが特別であることを示します。次に何枚かのカードを取り出し、このパケットを謎のカードと離れた場所に置きます。
「これは私のカードです。後で見ましょう。貴方にもカードを一枚選んでいただきます」
デックを表向きにスプレッドし、一枚選んでもらったら表にマーカーでサインしてもらいます。
置いてあったパケットを一枚ずつ数えながら見せて4枚のAであることを示す。
「それが貴方のカードです。私のカードは4枚のAです。謎のカードには全く触っていません」
観客のカードをAのパケットに混ぜます。
「では今から貴方のカードを消してしまいましょう。・・・・・はい、消えました。もうありませんよ」
パケットを一枚ずつ表を見せながらテーブルに数えていくと4枚のAだけで観客のカードは消えている。再度4枚を拾い、表を見せて本当に4枚しかないことを示す。
「さて、謎のカードをあける時が来ました。でも最後まで私はカードに触れません」
2枚のAで謎のカードを挟み持ち、観客に謎カードを抜いてみてもらうと、なんと、最初から置いてあったそのカードは観客のサインしたカードなのです。
最初に出しておいたカードがサインされたカードであった、という有り得ない時間的な矛盾の現象はマジシャン達に刺激を与え、ヴァリエーションを多く生んだようです。
僕はラリー・ジェニングスの「THE MYSTELY CARD」を知っています。
こちらは最初に出した謎カードをポケットにしまい、観客のサインカードを2枚のジョーカーで消した後、ポケットから謎カードを出すとそれがサインカードである、という演出です。
ジェニングスのトリックでは謎のカードは観客の目の届かない場所に入れてしまうのですが、パームを使った大胆な構成で演じやすいと思います。
この現象を見せられた場合一番考えられるタネは、観客のカードと謎のカードをどうにかしてすり替えたのだろう、という推測です。
しかし、この推測をするともう一つ大きな問題が見えてきます。
「すり替えたのなら、最初に出したカードはどこに消えたのだろう」というものです。
4枚のAとサインカード、謎カードの6枚のカードが存在し、最後に謎カードはサインカードだったのですから、5枚に減っています。最後は本当に5枚だけです。
ですが、存在しないはずの6枚目のカードを観客は最初にその目で見ているのです。
これは後で考えれば考えるほど不思議でならないトリックです。
気分を害してしまう人も居るかもしれませんし、マジックを観る目が「絶対に見破ってやろう」という正しくない観方になってしまいます。
マジックの最初に最後に使うカードを置いて見せておく、という演出もなかなか挑戦的なものだと思いますが、「THE SIGNED CARD」という類のマジックでは不思議さが際立つ、というプラスの効果をもたらしています。
「THE SIGNED CARD」
トリックを始める前にデックからカードを一枚取り出し、裏向きのままテーブルに伏せます。
「このカードは皆さんの見える場所においておきます。誰も見てはいけません。触ってもいけません。私もこのカードには二度と触れません」
意味深な事を言ってこのカードが特別であることを示します。次に何枚かのカードを取り出し、このパケットを謎のカードと離れた場所に置きます。
「これは私のカードです。後で見ましょう。貴方にもカードを一枚選んでいただきます」
デックを表向きにスプレッドし、一枚選んでもらったら表にマーカーでサインしてもらいます。
置いてあったパケットを一枚ずつ数えながら見せて4枚のAであることを示す。
「それが貴方のカードです。私のカードは4枚のAです。謎のカードには全く触っていません」
観客のカードをAのパケットに混ぜます。
「では今から貴方のカードを消してしまいましょう。・・・・・はい、消えました。もうありませんよ」
パケットを一枚ずつ表を見せながらテーブルに数えていくと4枚のAだけで観客のカードは消えている。再度4枚を拾い、表を見せて本当に4枚しかないことを示す。
「さて、謎のカードをあける時が来ました。でも最後まで私はカードに触れません」
2枚のAで謎のカードを挟み持ち、観客に謎カードを抜いてみてもらうと、なんと、最初から置いてあったそのカードは観客のサインしたカードなのです。
最初に出しておいたカードがサインされたカードであった、という有り得ない時間的な矛盾の現象はマジシャン達に刺激を与え、ヴァリエーションを多く生んだようです。
僕はラリー・ジェニングスの「THE MYSTELY CARD」を知っています。
こちらは最初に出した謎カードをポケットにしまい、観客のサインカードを2枚のジョーカーで消した後、ポケットから謎カードを出すとそれがサインカードである、という演出です。
ジェニングスのトリックでは謎のカードは観客の目の届かない場所に入れてしまうのですが、パームを使った大胆な構成で演じやすいと思います。
この現象を見せられた場合一番考えられるタネは、観客のカードと謎のカードをどうにかしてすり替えたのだろう、という推測です。
しかし、この推測をするともう一つ大きな問題が見えてきます。
「すり替えたのなら、最初に出したカードはどこに消えたのだろう」というものです。
4枚のAとサインカード、謎カードの6枚のカードが存在し、最後に謎カードはサインカードだったのですから、5枚に減っています。最後は本当に5枚だけです。
ですが、存在しないはずの6枚目のカードを観客は最初にその目で見ているのです。
これは後で考えれば考えるほど不思議でならないトリックです。
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