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カード別使用感 Absolut Deck

カード別使用感
08 /28 2008
今日のカードで使用感は51個目(番外編除く)、カード別使用感はここから折り返しです。

全部自分で書いておいて言うのも何ですけど、こう、目次を下までスクロールしていくと50種類のカードって結構凄い数でしたね。
46~50個まではプラ製で稼いだ感もありますが、この先プラ製はもう出てこないと思います。どうしても足りなくなったら最後の手段として取っておきましょう。

それぞれのカード使用感を少しずつ修正してバランスを取らないといけなくなってきました。
数が多くなると大変だ。



さて、本日のカードは「Absolut Deck」です。
Dan&Daveがフラリッシュのビデオで使用していたことで一気に広まったカードです。
「プラスチックっぽい」と言われていたのでプラ製を載せた後にもってきましたが、個人的にはあまり似ていないと思いました。まずは ABSOLUT について、続けてカードの特徴を見ていきましょう。
写真が多くなってしまいました。興味のある方は↓からどうぞ。
「Absolut Deck」
カードの名前になっている「ABSOLUT」は、最後に「e」を付けると「Absolute」、「究極の」といった意味ですが、このカードが究極なのではなく、「Absolut」という会社のプロモーションカードだからです。
何故に会社名を「ABSOLUTE」ではなく、Eを抜いた「ABSOLUT」にしたのかというと、日常での文章や会話では勿論、広告などでも広く使用される単語を登録できなかったからだそうです。商標登録みたいなものでしょうか。

Absolut社はウォッカの生産でバカルディやスミノフに並ぶ世界トップの企業です。
1879年にスウェーデンで設立され、以来スピリッツの生産だけにとどまらず、そのボトルのデザインに力を注ぎ、優れた広告展開によって「Absolut」を育ててきました。アメリカでは優れた広告に与えられる賞(なんて名前か忘れました)をいくつか貰っています。
音楽やファッションにも携わり、1つのアーティスティックなブランドとして世界中に認知されているのです。
何種類もウォッカを飲んでいるわけではありませんが、Absolut社のウォッカは口当たりがよくトゲトゲしない、まろやかな味がします。美味しいですよ。
Absolut のウェブサイトはこちら → absolut.com
最初に生年月日を入力してくださいね。
刺激的なBGM、刺激的なカラーデザイン、こういうセンスに多く触れるのはマジックの種を求めることよりも大切かもしれません。
このサイトから進める ABSOLUT COLORS に載っていたBLUE JAY というカクテルが美味しかったです。

さて、カードの話に入ります。
Dan&Daveの動画で使用されたのを切欠にオークションへの出品が相次いだデックですが、このカードはこれまでのカードと違い「非売品」です。
通常はショップで購入する事ができません。
このカードは05年、Absolut社がバーなどへの出演を依頼したパフォーマーに配布し、観客へのお土産に持たせるために生産された宣伝用のデックなのです。
要するにAbsolut社の「おまけグッズ」です。
話題に上った後、Dan&Daveのサイトでは1デック10ドルで販売されましたが、依頼されたマジシャンにしてみれば、依頼主からばら撒かれたようなカードだったのでしょう。

価格は10ドルと少々高いように思えますが、Absolut社は他にも色々なノベルティを出しており(グラスやシェーカーなど)、このカードも他のグッズ同様、Absolutブランドとしてのコレクション的な価値はあると思います。
この10ドルという価格はDan&Daveのサイトで発売されてから安定してきた価格で、それ以前はオークションの価格にばらつきがありました。

ケースはゆる~くフィルムに包まれており、蓋をとじるシールはありません。当たり前ですがバーコードもありません。青を基調として細かい模様が描かれた非常に綺麗なデザインですね。
蓋と下部には「ABSOLUT DECK」、側面には「10 DRINK RECIPES INSIDE. PERFECT WITH ANY HAND.」と書かれています。ジョーカーはデュプリケイト、空になったボトルを振って残念がっている道化師です。スペードのAは何だかケバケバしています。裏模様は幾何学的な模様が描かれています。
このAと裏模様ですが、よーく見るとAbsolut社らしくボトルやカクテルグラスが描かれています。スペードのAの周りが何やらケバケバしていますが、これはボトルが並んでいます。裏模様も、カクテルグラスが周りを縁取り、ボトルの交差した模様とスートが並び、中央には有名なAbsolutデザインのボトルが描かれています。

ウォッカを造っている会社のグッズなので、A~10までのカードにAbsolut ウォッカを使ったカクテルのレシピが載っています。
1枚に付き1カクテル、書いてあるレシピはどのマークも同じです。ダイヤのA~10のレシピとクラブやハートのレシピは同じです。
なので52枚全部で10個のカクテルレシピが載っているのです。
A~6までは、ABSOLUT HAND、ABSOLUT HOLD、ABSOLUT FLUSH、ABSOLUT DEAL、ABSOLUT CHILL、ABSOLUT RAISE7~10までは、ABSOLUT COUNT、ABSOLUT SHUFFLE、ABSOLUT FOLD、ABSOLUT BLUFF絵札にはレシピは載っていません。
絵札のデザインはそれぞれグラスとボトルを持ち、表情豊かに描かれています。皆さんとても笑顔ですね。

開封直後のすべり具合
「★★★★★☆」(6)
もうちょっと滑ってほしいところですが、扱いにくいことはなく、良いでしょう。
あまり滑らないカードです。しかしスプレッドは出来ますので問題なし。

裏模様の見た目
個人的に「★★★★★☆」(6)
マジック用として「★★★★」(4)
綺麗なデザインですね。個人的には好きです。
白枠ありでマジックにも使えますが、バー以外の場でこれを使おうとは思えないデザインではないでしょうか。バックもフェイスも。
フラリッシュなら問題ないでしょうが、マジックに使うならもうちょっと模様を選びましょう。
カラーバリエーションも(多分)ありません。

スプレッドのやり易さ、広がり具合
「★★★★」(4)
3にしようか迷いました。
殆ど滑らない表質です。手でファン状にはできませんが、テーブルにスプレッドするのは綺麗にできます。マットの上ならより綺麗に広げられます。触った感じから、多分上手く広がらないだろうなぁ、と思いましたが意外にも広げやすい感触。
まだ汚れの少ない初期であれば、プレッシャーファンで綺麗に広げられます。

リフルシャフルのやり易さ
「★★★」(3)
弾力は弱くカードが曲がりやすいため、何回かリフルシャフルすると癖が付いて歪んでしまいます。曲がった状態は直せますが、なんだか不安になるさわり心地でした。
あまり曲げないようにリフルした方がいいと思います。

ファローシャフルのやり易さ
「★★」(2)
パーフェクトファローは空けた直後の新品なら何とか出来る程度。
かみ合わせ難いですね。出来なくは無い、といった感じ。

カードの硬さ
「★★★」(3)
デックは片手で折り曲げられそうなくらい柔らかいですね。
1枚だけでカードを曲げると、一応ピンッと戻りますが曲がり癖が付いたままです。
1枚単位で見るとかなり薄くペラペラに感じられますが、弾力はきちんとあります。
デック単位で曲げて見ると、他のデックに比べると柔らかいですがきちんとしなやかな弾力が感じられます。
欲を言うと、せめてもう少し硬くしてほしいところ。でも、そもそもがノベルティグッズなのですから質を求めるのが間違っています。

エンボス加工の有無
無し
ツルツルのスベスベです。表面はプラスチックコーティングされたような光沢。U.S.P.C社製カードのプラスチックコーティングよりも更にスベスベしています。
このさわり心地はWIZARDS' INN DECKに似ていると感じました。側面のスベスベも若干似ていると思います。
Absolut Deckの弾力を強くして、もっとしっかりしたカードに作ればWIZARDS' INN DECKみたいになる気がします。

何層構造か
2層構造です。
このカードはBICYCLEよりも遥かに薄く作られています。紙2枚で作られたにしては丈夫だと思います。でも、これ透けるんじゃないかな?と思ってライトに当ててみましたら、ものの見事に透けました。
ちなみに話は逸れますが、U.S.P.C社製の昔の紙質で作られたカードも、実は透けます。
Old STUD、Old CALAVAN、実際にカジノで使われていたジェリーやGoldenもライトにかざすと透けるのです。
しかし現在生産されているBICYCLEなどは中の紙を絶対に透けないようなモノに改良したので何をどうやっても透けません。多分、その改良によって昔のあの強い弾力は無くなってしまったのでしょう。少し残念です。

Absolutの場合は2層構造で、しかも紙自体がかなり薄いため、それはそれは鮮やかに透けてしまいますね。

値段との釣り合い
[#IMAGE|S7#]
品質のみでみれば10ドルは高いと思います。
非売品であることに鑑みて納得できる価格でもあります。

総評
ノベルティトランプとしての質は良く、デザインもお洒落ですね。
フラリッシュに使うことを考えると弾力が弱いです。カードは薄く、軽く、扱いやすさが感じられます。しかし、10ドル以下でも良いカードは沢山ある点を考えると、使用者の嗜好によってこのカードの評価は大きく分かれると思います。

ファン状にし難いですが、フラリッシュに向いている表質と側面です。僕としてはもう少し弾力が欲しかったのですが、これでも十二分に扱いやすい質でしょう。
バーという環境ならぴったりのデザインですが、それ以外の場所だとなんだか場違いな気がします。でもデザインはとっても映えるのでマジックにも使いやすいでしょう。

空けて直ぐに手触りがWIZARDS' INN DECKに似ていると感じました。表面のスベスベと側面のさわり心地は似ていると思います。カードの質はWiz Deckの方が良いでしょう。

このカードは質があまり変化しない特徴があるように思います。
普通、U.S.P.C社製のカードなどは、新品から段々すべり具合が落ちていき、程よく滑るようになった頃をピークに、汗や汚れで使えなくなってきます。
ジェリーなんかは段々滑りが増す変な癖を持っていたりしますが。
このAbsolut Deckの場合、新品も、ちょっと使い込んだ状態も殆ど同じ質を保つのです。
「質を保つ」というのは要するに劣化しないということで、長い間使い続けられます。
Dan&Daveのショップでは「ちょっとくらい濡れても平気」と書かれていたので、濡らしてみました。ウォッカで。
直ぐに拭かないとグニャグニャになってしまいますが、確かにちょっとくらいなら平気でした。

汚れるのをあまり気にせず使えるため、その辺のテーブルにポンと置いておき、手が暇なときに軽くフラリッシュの練習をしたり、弄ったり、そしてまたそのままテーブルに放っておく、そういった便利なカードになっています。僕にとっては。

値段がちょっと高く、品質も飛びぬけて良いわけではありませんが、コンディションを気にせず適当に使い続けられるカードです。
使い勝手のよいカード、こういうものが1ついつも置いてあるといいですよね。「カードが手に馴染んでくる」というよりも、「手がカードに馴染んでくる」といった感じ。
U.S.P.C社製とは違う「匂い」(文字通りの意味です)がしますが、この匂いは結構好き。

カード別使用感 目次

コメント

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No title

初めまして。
カードの使用感をインターネットで検索していて辿り着きました。50ものレビューには感心しました。さすがマニアですね。(^^)
私はカードマジック初心者なので、そんなに多くのデックを使用したことがありません。今後のデック選択の参考にさせて頂きます。

私が使用しているのは、タリホーです。単に使用感について悪いことを効かず、値段が安く手に入りやすいから。あとはバイシクル・ゴースト。これは使用感ということではなく、純粋に見た目で選びました。今のところ、最も美しいカードだと思っています。

今後も拝見させて頂きます。

P.S.
Ellusionistのフォーラムでカード表面のフィニッシュに関する記事を見ました。コメント欄にURLを貼るとスパムと判定されるようなので、URL欄にそのコメントのリンクを貼りました。既にご存知であるかもしれませんが、ご参考になれば。

No title

はじめまして。コメント有難うございます。
タリホーやBICYCLEは、使い続けられているのが何よりの証拠でとても良いカードだと思います。「スタンダード」は伊達じゃありませんね。
ゴーストデックは綺麗ですよね。ケースの蓋のシールまで美しいです。
カラーバリエーションは出来るだけ使用感に載せない事にしているのですが、BICYCLEのバリエーションの中では僕の一番好きなカードです。

フィニッシュに関する記事の情報、有難うございます。
他のフォーラムにも同じ内容の投稿がよく見られます。
多くの人がフィニッシュの種類の違いをきちんと確認したいのでしょう。勿論僕もその一人です。
しかし、今のところ上記のURLに書かれている内容以外に、細かい違いを示したものは無いと思います。
しかもそれが事実かどうか分からないのも残念なところですね。
U.S.P.C社が教えてくれない限り、表面加工の種類については謎のままかもしれません。

No title

ついでと言っては何ですが、ご存知でしたら教えてください。

8月25日の記事の画像は、ゴーストだと思います。私が持っているゴーストは、画像のようなサイドがグレーのパッケージと、全面白地のパッケージの2種類があります。両方とも開けてみたのですが、私には違いが分かりませんでした。何か違いがあるんでしょうか?

No title

おそらく生産された時期によるものでしょう。
Elusionist製品は一度ケースデザインを変更しました。最初の頃のゴーストデックは現在のモノと違い、バーコードの隠し文字などもありません。
多分ブラックタイガーなど他のデックも同様に、少しだけデザインが変わったと思います。
カード自体の質は変わりません。

No title

 どうもこんにちわ。お世話になります、J.u.N.です。
 Absolut DeckはWynn DeckやJerry's NuggetやCartamundi社製のDeckなどのように、その他と一線を画する特徴を持ったカードだと思います。個人的にはかなりお気に入りなカードの一つです。
 特筆すべきはやはり耐久性の高さと薄さでしょうか。滑り具合等は可もなく不可もなくですが(どちらかというとイマイチかもしれません)。箱に入れずに放っておいてもカードの状態が変化しない耐久性、変形しても可塑性が高いようで、元の形に戻りやすい耐久性、等がその他と比べて秀でているように思います。薄さに感じては見たことのあるカードの中で最も薄いです。Deck全体でJerry's Nuggetより2枚くらい薄いですね。

No title

コメント有難うございます。
Dan&Daveも今までで一番薄いカードだ、と言っていましたが、もっと薄いカードがありますよ。
J.u.N.さんもお持ちのOld STUD Deckです。
52枚の厚さはAbsolutよりも僅かに、0.5枚分程度薄いです。僕の触ったカードの中でも今のところ一番薄いのがOld STUDですね。

No title

 どうもこんにちわ。レスポンスが遅くなりましてすみません。実家に置いておいたOldStudを帰った際に触って確認してみました。すると52枚で比べて、確かにAbsolutDeckより約1枚薄かったです。カードがしなって厚く感じていたので、まさかこんなに薄いとは思いもしませんでした。
 個人的には薄いカードが好きなのですが、現在販売されているDeckはどれもBicycleと同じくらいですよね。Jerry's Nuggetで証明されているように薄くても硬くかつ耐久性も十分なカードが作れるのにそうしないのは、一般的には薄すぎても使いずらいという見解があるのかもしれないですね。

No title

コメント有難うございます。
薄くすると耐久性もなくなりますからね。中に挟む芯の紙質を変えたことで薄くて耐久性のあるカードは難しくなったのかもしれません。
薄いほうが扱いやすい、というのはフラリッシュにおいて言えることだと思いますが、BICYCLE程度の厚さであればマジックやゲームに使う分に申し分ないですし、薄く作る必要が無くなっているのでしょうね。

No title

最近は品薄になったのかこのデックを見かけなくなりました。

カードは薄いですが弾力があって滑りづらいのでフラリッシュに向いています。
裏模様も青しかありませんが鮮やかで好きです。
絵札やジョーカーのデザインもお気に入りです。
ただ字札にあるレシピがちょっと邪魔な気がします。
安ければマジックにも使いたいです。

質は良いですがやはり5分割のフラリッシュになると
カードがつい曲がってしまいます。
4分割のフラリッシュまでならかなり適しています。
でも曲がり癖はつきやすいのでリフルシャフルはやらないほうがいいと思いました

No title

コメントありがとうございます。
そうですね、オークションでも全然見なくなりました。一時期、馬鹿みたいに出品されていましたけどね。
もうちょっと弾力が強ければ本当に使いやすいカードなのですが、今使っているAbsolutはボロボロで分厚くなっちゃってます。
リフルするとぐにゃっと曲がっちゃいますよね。

あすぱら

トマト・お酒・カードマジック好き。
最近はレザーアイテムをチマチマ作っております。