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こんな夢を見た

本の話し
02 /06 2007
よく日本人はあまり笑わない、無表情だという。
「奥ゆかしさ」や「感情をむやみやたらに出さない」というのが日本の美しさの感覚。
それが日本人のマイナス面だと思ったことは無い。
例えばイタリア人の感情表現と、NYから出た事ない人の感情表現は違ってくるだろうし、感情表現の仕方に正しい・間違いはつけられないと思うから。

日本語とは実に多彩な表現ができる言葉だと思う。
言葉に出来ないような感情や気分を結構細かく書ける。
あくまで僕の感覚だけど、ペーパーバックを読んだ時に感じたのだが、英語にはある程度の情景を読者に委ねる部分がある。ような気がする。

日本人の感情表現が控えめなのは、感情を上手に伝える言葉が多彩だから、それで済んでしまうのではないかと思っている。

ここでひとつ本を紹介。
「こんな夢を見た。」
で書き出され、10編の短い話で構成されている夏目漱石の「夢十夜」
「綺麗な日本語」と言われても正直よく分からないけれど、この夢十夜、というか夏目漱石の日本語は本当に綺麗。

「そこへ遥かの上から、ぽたりと露が落ちたので、花は自分の重みでふらふらと動いた。
自分は首を前へ出して冷たい露の滴る、白い花弁に接吻した。
自分が百合から顔を離す拍子に思はず、遠い空を見たら、暁の星がたつた一つ瞬いてゐた。
『百年はもう来てゐたんだな』と此の時始めて気が付いた。」

さらさら流れているような、真っ黒で艶のある黒髪のような、僕の感覚で言うとそういう美しさ。
こういう文章を書いてみたい。
僕はかなり読書家。色々な本を読む。
随筆からSFからライトノベルから。それから漫画もね。
さすがに古典文学は読まないけれど夏目漱石くらいだったら昔の字、「ゐ、さうして、云ふ」などが使われていても読む。

コメント

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No title

いいですよね夢十夜。さくっと読める分量なのに、じっくりとした鑑賞にも堪える不思議な夢のお話。
かっちりとした文体に関わらず時間と場所の概念が希薄だからでしょうか非常に「詩的」な印象を受けました。
読むたびに必ずしも一通りにならない自己解釈が楽しめますね。

全体にひんやりとした空気と人肌のほんのりとした温かみが同居しているように感じました。

それにしても本当に日本語が綺麗。この作品に関わらず漱石を読むと昔はこんなにも感情の機微を表現する語彙が豊かだったのかと感心させられます。

No title

コメントありがとうございます。
一度読んでも、暫くするとまた手にとってしまう不思議な短編です。好きな音楽を何度も聴くような感覚ですね。
とても綺麗な文体と物語でいつまでも魅力に溢れている名作です。
頭を捻って解釈を見つけるのも面白いですが、そのまま何となく読んでみるのも僕は好きですね。

あすぱら

トマト・お酒・カードマジック好き。
最近はレザーアイテムをチマチマ作っております。