黄色い部屋の謎

僕が読んで面白かったミステリーを紹介。
「密室」を扱ったミステリーの原点だとも言われている古いものですが、傑作というのは書物であれ音楽であれ、いつ味わっても楽しめるものですね。

黄色い部屋の謎
ガストン ルルー / / 嶋中書店




ガストン・ルルーといえば有名な「オペラ座の怪人」を書いた人でもあります。
そんな人物の描く密室ミステリーの情景はなかなかドラマティック。

マジックのタネは得てしてひどく単純なものです。
教えてもらえば「どうして考え付かなかったのだろう」と思わずにはいられないものです。
しかしマジックを観ている観客はそんな「つまらないタネ」は望んでいないのです。
何か自分の想像を遥かに超える劇的かつ素晴らしいヒミツを望んでいるのです。
マジックのタネには少なからず「ロマン」が含まれている、と僕は常々考えています。

そんな観客達の要望に応えたのが「ミステリー」ではないでしょうか。
一見不可能な現象を巧妙な手段で可能にしてしまう。
さらにそれを素晴らしい頭脳の持ち主が劇的かつドラマティックに暴露していくのです。
それがミステリーの面白さです。

「黄色い部屋の謎」はちょっと古い内容かもしれません。
ですが探偵同士の対決や犯人を追い詰めるシーン、最後に爽快なまでにトリックを明かすまで、そして明かされた後も読んでいて楽しめます。
タネが見えても楽しめるマジックというのは、結構スゴイことです。