カード別使用感 ARRCO Club Casino
カード別使用感
この記事一回消えたんだぜ・・・、使用感をゼロからまた書くのって、大変なんだぜ・・・
毎年年末の使用感はちょっとレアな感じのデックを載せていますが、今回もそれなりに。
カードマジックを始めてから「カードマジック事典」を読んだことのない人は少ないと思うのですが、その本には推奨するデックとしてこのような紹介が載っています。
「世界中でもっとも広く使われているのは、アメリカのU.S.プレイングカード会社の、バイシクルBICYCLE、タリホーTALLY-HO、キャラバンCARAVANという裏模様のものである。また最近ではアメリカのアルコ・プレイング会社の、タホーTAHOE、カシノCasinoも安価で使いやすいため使われている。」
カードマジック事典が書かれたのが80年代、ここに挙げられたデックで現在も良く使われているのがBICYCLEとTALLY-HOですね。CARAVANは少し古く、Tahoeはレアデックになっています。
これまで「Casino」というデック以外は使用感に載っていたのですが、僕は長い間、このCasinoがどういうデックが分かりませんでした。カードマジック事典に載っているカードはコンプリートしたいと思っておりましたがなかなか探せなかったのです。
それっぽいな、と思っていたデックやU.S.P.C社製バージョンの存在があり、なかなか本命の純ArrcoCasinoに行き着きませんでしたが、今回やっと載せることが出来ました。品質も抜群で、2012年最後の使用感として相応しいと思います。
「ARRCO CASINO」
ARRCO社は今のU.S.P.C社に買収される前、マジシャンに人気の高いTahoeというデックを作っていました。勿論それ以外にも作っていましたが、その1つが今回のCasinoです。このCasinoというデックは裏模様が今で言うARRCOデックのそれで、買収される前の純ARRCO社の品質なのです。
Tahoeよりもマイナーなのか、長い間触れませんでした。あまりオークションにも出てこないデックで、出てきてもお高い万円ですからね。
実はかなり前にARRCO社のデックを1つ手に入れていて、Beeみたいな格子状の模様から「Casinoってこれじゃね?」と思っていたデックがありました。それがこちら。
このカード自体はARRCO社が別の会社のPRのために作ったデックだと思うのですが(ケース底に社名)裏模様が格子状で品質はTahoeのそれです。ちなみにスペードのAには21の文字と、Tahoeと違いゴールドのフィルムに包まれています。
フィニッシュ加工もTahoeと同じですね。生産時期は恐らく80年前後でしょう。僕が触ったARRCO社のデックでは一番古いものになります。
これをCasinoだと勘違いしていた理由がもう一つありまして、U.S.P.C社が生産した「Club Casino」というデックがこれと同じ裏模様なのです。それがこちら。
このデックは純ARRCO社のCasinoと同じケースデザインなのでARRCO社が買収された後にU.S.P.C社がそのままのデザインで中のデックだけ変えて販売したのでしょう。何故かは分かりませんが。
ちなみにこのCASINO、僕は持っていなかったのですが純ARRCOのCASINOと比べたかったのでshimoさんに相談したら快く譲ってくれました。有難うございます。良い人やー。
このデック自体はOHIO製の薄いデックで恐らく90年代後半のデックでしょう。ギャンブル系の技法やマジックには使いやすいデックですね。
この2つのデックの存在があったため、純ARRCOのCASINOも間違いなく格子状の模様だと思ったのですが、白枠の無いカードをカードマジック事典でオススメするかなぁ、と疑問でした。純ARRCOのCasinoを開けて裏模様がARRCOのあれだったので、推奨されていた事に納得したのです。
でその純ARCOのCASINOがこちら。今日の使用感はこのデックです。
U.S.P.C社のCASINOと比べるといくつか違う点があります。
まずケースの縁を飾る模様と右下コーナーの帯文字が違います。
ケースの構造自体も違いますね。
純ARRCOのほうは窓があいており中のフィルムが見えていますが、U.S.P.C社のほうは格子状の模様の絵が描かれています。
純ARRCOのケースはメーカー名がARRCOになっています。フィニッシュ加工名はTAHOEと同じですね。
ちなみにケースはフィルムに包まれていないタイプです。
ジョーカーデザインは現在のARRCOジョーカーと同じで、1枚がカラーバージョンになっています。
スペードのAにはCasinoの文字が入っておりアルファベットや4桁の数字はありません。
裏模様はARRCOのあれですね。
開封直後のすべり具合
「★★★★★☆☆☆☆」(9)
パーフェクト。気分的には満点なのですが、満点つけちゃうと後で調整が必要になることがあるので、一個減らして9点。Tahoeよりも比較的新しいデックだからなのか、凄く良い滑りです。カード同士の摩擦はちゃんとありますがヌルーっと滑り、滑り過ぎもなし。パーフェクト。
裏模様の見た目
個人的に「★★★」(3)
マジック用として「★★★★★」(5)
個人的には好きな模様ではないのです。マジック用としては芸術的な模様に赤と青の2色、上下対照で白枠もある無難なタイプですね。
これ何回か書いている気がしますが、顕微鏡で見た細胞というか微生物みたいな模様に思えません?
スプレッドのやり易さ、広がり具合
「★★★★★☆☆☆」(8)
ほぼパーフェクト。何故、開封直後の9点より減らしたかというと、手でファン状にする時の摩擦が強くてリボンスプレッドする時よりも広げにくいのです。と言っても8点ですから凄くいいですけどね。
ツルツルのテーブルでも綺麗に広がります。 BICYCLEなどよりもちょっと摩擦の強いヌル感。純ARRCO製の特徴ですね。パケット分けもしやすく非常にカット系フラリッシュには向いているでしょう。
リフルシャフルのやり易さ
「★★★★★☆(6)
5点よりの6点といった感じ。
結構硬いデックです。また反りも結構強いので、癖のある印象ですね。
現在のU.S.P.C社製だと親指の感触がシャラシャラシャラーとリフルできますが、このデックはバタバタバタといった感触です。ですので普通のリフルシャッフルではあまり細かく噛み合わせられませんね。
ただ不思議と揃えるときの抵抗感は全然ありません。変なの。
ファローシャフルのやり易さ
「★★★★★☆☆」(7)
綺麗な裁断ですね。Tahoeと比べるとちょっと荒い面に見えますが、非常に噛み合わせはしやすいです。
反りが強くてちょっと慣れないといけませんが、噛み合わせ自体はさっくり綺麗にいきますね。昔のU.S.P.C社製みたいな感じかな。
カードの硬さ
「★★★★★☆」(6)
結構硬いデックです。Tahoeと同じ程度の弾力やコシの強さだと思いますが、Tahoeよりもちょっと分厚いため(Tahoeが薄すぎるのですが)Tahoeよりもちょい固めといった印象。カードの厚さは54枚で現在のBICYCLEの52枚と同じ程度。
エンボス加工の有無
有り
でも基本的に薄くてツルツルした見た目です。純ARRCOの特徴ですが、ペタペタツルツルヌルヌルって感じ。
Tahoeと比べるとより丁寧な凹凸になっています。
エンボスの見た目は今のU.S.P.C社製のエンボスに近づいていますね。
ちなみにU.S.P.C社製Casinoと比べるとこんな感じ。
こうして比べるとU.S.P.C社製に対してツルツルということがよく分かると思います。
フィニッシュ加工は「RESILIENT LINEN FINISH」となっています。
何層構造か
3層構造です。
値段との釣り合い
???
今だとコレクターズアイテムですから価格は無視の方向で。
【絵札について】
勿論ARRCOのフェイスデザインですが、絵札の「線」が水色です。左の絵札がCasino、右がTahoeです。結構印象が変わりますよね。
ちなみに何故かU.S.P.C社製CasinoはU.S.P.C社のフェイスデザインなのです。
【紙の色について】
Tahoeと比べると白いですが、それでもちょっとクリーム色ですね。
色の変遷がよくわかります。
総評
ようやくこれでカードマジック事典に載っていたカードをコンプしたのですっきりしましたね。
ずっとTahoeを載せるのが大きな目標でしたが、それよりもCasinoの方が時間が掛かり、まさに裏ボス的な存在でした。
デザイン的にはケースに窓が開いているのが珍しいです。中身が銀のフィルムでしっかり包まれているから出来る事ですね。今だとケース全体は透明フィルムで包まないといけません。Beeのカジノ用とかがそうですね。
品質ですが、これは抜群に良いです。
昔のデックなので反りが強いのですが、それ以外はほぼパーフェクトと言って良いでしょう。強いて欠点を言うならリフルシャッフルのバタバタ感くらい。素晴らしい品質です。
特に滑り具合が丁度良く、純ARRCOのTahoeや最初に書いた格子状のデックから、そんなに良い滑り方はしないだろうなと予想していただけに、最初にスプレッドした時はビックリしました。
カードの硬さ良し、粘りのある弾力は僕の好みにピッタリでした。
表面の品質はTahoeよりも現在のU.S.P.C社製に近づいている印象。Tahoeよりもエンボスが深く並び方が丁寧になりましたね。ペタペタ感は強いのですがそれが邪魔になることもなくマジックにもフラリッシュにも大変良いデックです。
ただ、やはり昔のクセのあるデックということで好みが別れるとは思いました。
僕はTahoeよりも気に入ったので、例えばジェリー、Tahoe、Wynn、Golden、Casino(全部コレクターに人気のデックですね)が並んでいたら、扱いやすさという点でCasinoを選ぶと思います。デザイン的にはWynnかなぁ。
カード同士の密着感がある程度強いので持っていて安心安定感があり、シャフルもスプレッドも綺麗に問題なく行え、硬くて強い弾力もあり耐久性も心配ありません。クオリティーが抜群に安定しているデックでした。
これが「安価で」手に入った時代が羨ましいですね。
コメント
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明けましておめでとうございます。今年もカード使用感期待しています!どうぞよろしくお願いいたします。
2013-01-01 13:17 buzz URL 編集
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僕らが今使っているBICYCLEやBeeも、あと20年くらいしたら超レアなデックになっているかもしれませんね・・・
2013-01-01 21:33 k_motonari URL 編集
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アルスさんがレクチャー会で使っていてその時に始めて触りました。
今でもちょくちょくオークションで見かけますよね(´・ω・`)
2013-01-01 23:19 集 URL 編集
No title
2013-01-02 00:09 集 URL 編集
No title
2013-01-04 19:57 k_motonari URL 編集
No title
今年もよろしくお願い致します。
2013-01-04 19:57 k_motonari URL 編集